「Google In Quotes」は,ある論点に対する政治家(二者)の発言を比較することができるサービスである.
このサービスを使ってみた感想を簡単にまとめておく.
政治家の選択
始めの画面では,オバマとマケインの二者が選ばれるが,政治家は好きなように選択できるようになっている.
アメリカであれば,クリントンやブッシュなど,現時点では20人が選択可能.
また国の選択は,画面右上の「Editionプルダウン」から選択することができる.
現時点では「U.S.」「Canada」「India」「UK」「Custom...」が選べる.
政治家名のサジェスト機能と麻生太郎
ちなみに,Customにすると,好きな政治家の名前をサジェスト機能で入力できるようになる.
試しに「as」とタイプしたら「Taro Aso」がサジェストされた.
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以下は,Issue(論点)を「Japan」としたときの麻生太郎の発言.
“This is the responsibility of Japan as a member of the international community, which is battling terror,” Aso said.
Wed, 24 Sep 2008 AFP
麻生太郎の発言を保持してるのは意外だった.網羅性は高そうな気がする.
issue(論点)
「In Quotes」でissueとなっているのは,発言が向けられているテーマのようなもので,ここでは論点と呼ぶ.
画面中央で例示されている論点には,「oil」「economy」「Iraq」などがある.
論点に関しても,上のテキストエリアから自由に入力することができる.
しかしこの論点を自由に入力すると,仕組みのなさが明らかになる.
例えば「Japan」という論点を入力すると,きちんと発言が出力されるのだが,一体「Japan」の何に関する話題なのかわからない.
また「said」と入力しても,出力される.
これはダメすぎだろう.
発言と論点の関係
発言情報は,「"":ダブルクオーテーションマーク」や「McCain said,」などの手がかり語を用いて抜いてきているように見える.
ここで問題なのは,どうやってその発言が論点に関係していると判断しているかなのだが,提供されている発言情報を見てみると,論点キーワードがボールドになって協調されていることがわかる.
今のところ,論点キーワードを含んだ発言が,その論点に関係していると判断しているのであろう.
政治家が発言をする状況ってのは様々で,例えば演説のような場面では長々と発言を行うが,メディアの記者に突然振られたような質問に答えるときは,短く答えることもある.
その結果,発言の中に必ずしも論点キーワードが含まれるわけではないと考えられる.
この辺のアルゴリズムに関しては,Googleのことだから超絶な勢いで修正してくるような気がするが,今のところは課題である.
また,以下でも似たような指摘がされている.
でも、キーワードの使い方をどのようにして決めているのか、そのためのアルゴリズムが不在という気がする。一部の“発言”はリライトされているし、そもそも全然その人の発言じゃない言葉が採用されていたりする。
TechCrunch Japanese アーカイブ » Googleの“In Quotes”で政治ルーレットを遊ぶ
Spinボタンの意味
Spinボタンを押すと,ランダムに発言が変わるが,特に意味がある機能のようには思えない.
Googleエンジニアの遊び心?
まとめ
この「In Quotes」は,ある論点に対して政治家(二者)の発言を出力し比較することができるアプリケーションである.
試行錯誤を繰り返し,将来的にはGoogleNewsの付加機能になるような気もする.
二者だけじゃなくて三者,四者に増えていっても面白そう.
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このサービスの強みは,バックグラウンドにGoogleNewsの莫大な記事情報を持ってるため,人物名や発言の量が膨大だという点にある.
また「ある論点に関する発言の比較」という着眼点での取り組みは,ニュースの理解や,意思決定に有用であることから評価できる.
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問題点や改善点は,多くあるように思う.
まず論点と発言の関係の判断が,論点キーワードを含んでいるか否かになっている点は改善の余地がある.
また,二者の発言が提供されてはいるが,その二者間の発言の選ばれ方がランダムな点も挙げられる.
例えば二者間で対立した主張をしているのであれば,その状況を明確に示す発言を同時に提供する仕組みが必要だと感じた.
何かあれば,追記します.