5/30 (水) - 6/01 (金) で AWS Summit Tokyo 2018 に参加してきた.3日間参加したものの,午前中はデイリースクラムなど重要なイベントがあったので,午後に数時間セッションを聞いたり,ブースを見たり,認定者ラウンジで休憩していた.今年はセッション予約が遅れてしまったので,気になっていた上級セッションなどを予約できず,比較的のんびりと過ごしていたような気がする.簡単にメモを残しておこうと思う.
今年7月から東京リージョンから Fargate が使える🎉
AWS Summit Tokyo 2018 でアナウンスがあったリリースの中でも,特に盛り上がったのは Fargate だと思う.今日から使えます!というアナウンスじゃなかったのは少し残念だったけど,それでも1ヶ月後なので,すぐに使えるようになる.既にバージニアリージョンで試しているので,積極的に導入したいと思う.
最近だと CloudFormation で ECS をデプロイするのが主流かもしれないけど,まだまだ使われている ecs-deploy の Fargate 対応は,実は僕が対応していて,今年4月に merge されているのですぐに使える!
5/30 (水)
AWS で実現するクラウドファーストなエンタープライズ・インテグレーション基盤
- ファーストリテイリングの事例
- 大規模なジョブネットと依存関係をクラウドネイティブに解決する
- Beanstalk Worker Tier + SQS を基本構成にしている
- SQS はメッセージの重複取得の可能性があるので,独自のアプリケーションで,チェックしている
- FIFO は東京リージョンになく,さらにパフォーマンスの懸念がある
- ジョブネットの依存関係は RDS に独自で管理している
ファーストリテイリング(ユニクロ)の基盤ということで,とにかく大規模で,歴史的経緯もあるアプリケーションなんだろうなという前提で,Beanstalk と SQS をうまく活用したアーキテクチャになっていた.ただ,メッセージの重複チェックや,ジョブネットの依存関係を RDS で管理しているなど,社内で作り込んだアプリケーションも大量にあるなという印象だった.オープンソースになったりすると,良さそうだけども.
(資料公開待ち)
Nintendo Switch (TM) 向けプッシュ通知システム「NPNS」
- 任天堂の事例
- NPNS : Nintendo Push Notification Service
- Switch のプッシュ通知で使っていて,Switch と常時接続している
- クラスタリングに対応した ejabberd (XMPP) を使っている
- メッセージングプロトコル
- ejabberd をかなりカスタマイズしている
- XMPP Cluster
- データベースがスケールしないため,複数のクラスタを運用している
- Cluster で ELB を使わず,複数のインスタンスでメッシュ構成になっている
- Consul (Failure Detection) がインスタンスを監視していて,Route 53 のレコード(インスタンスの Public IP)を管理している
- 1個の Consul Server で,複数の XMPP Cluster を監視している
- デプロイ
- クライアントの再接続を分散させるため,独自の仕組みがある
- 「ドリップ処理」と呼んでいる
- Blue / Green デプロイメントをした上で,緩やかに Green に切り替えていく
- インスタンス費用が2倍になる,デプロイが終わるまでに2時間かかるなど,課題はある
- L4 / L7 で TCP の切断対策もしている
今回参加したセッションの中で,1番技術的に面白かった.技術的なチャレンジが圧倒的で,稼働中の規模も大きく,アーキテクチャとしても素晴らしかった.また,複数ある実現方法を細かく検証してから選定しているところも良かった.今後の展望として NLB を導入して Consul を捨てるという話もあった.資料が公開されたら復習したいけど,公開されなさそう.うーん!公開してー!
(資料公開待ち)
FinTech リファレンスアーキテクチャ技術詳解 および FinTech 領域における AWS 活用事例
「FinTech リファレンスアーキテクチャ」の解説と,FinTech スタートアップ3社のパネルディスカッションだった.3社とも「リファレンスアーキテクチャ」に含まれている「検討事項と対応内容のマッピング表」を活用して,アーキテクチャを検討している点とセキュリティ関連の AWS サービスを多く使っている点が特徴的だった.個人的には,全体的に FinTech に限定したものではなく,クラウドネイティブというか,Well-Architected にアーキテクチャを実現しよう!という話に聞こえた.インスタンスに ssh したら負けで,Systems Manager Run Command を使おうという話も出ていた.
5/31 (木)
AWS のリアルタイム処理入門
- 関連するサービス
- Kinesis
- Lambda
- Step Functions
- 分類
- リアルタイム
- ニアリアルタイム
- リアクティブ
- イベントソーシング
- ステートマシン
事前に予約していたセッションがなく,会場のパブリックビューイングで聞いていた.初心者セッションではあったものの「リアルタイム」と言ってもいろいろ考え方があるんだよという話と,それをどう AWS で実現するかという話が整理されていて,非常に良いセッションだった.
(資料公開待ち)
6/01 (金)
AKB48 のモバイルサイトを他社のデーターセンターから AWS に Amazon ECS を用いて移管した話
- 自社のオンプレから AWS に移行をしている
- 利用技術
- Docker + PHP + 独自フレームワーク
- Terraform + Ansible
- BigQuery
- SendGrid + Cuenote FC
- StatusCake
- StatusCake – Website Monitoring – Website Monitoring & Downtime Alerts
- 外形監視/パフォーマンス監視/プロトコル別の監視
- Datadog
- データベース移行
- AWS Direct Connect でオンプレと VPC を接続する
- MySQL 5.1 → MySQL 5.5 → MySQL 5.6 → Aurora まで多段レプリケーションをする
- ECS 構成
- コンテナインスタンスごとに Fluentd を起動して,ログを収集する
- 既存のアーキテクチャを踏襲し,コンテナから NFS にアクセスする
- 現在
- Jenkins から Wercker に移行した
- Terraform から CloudFormation に移行した
同じサイバーエージェントのグループ会社で働いているけど,こういう事例を聞く機会がなく,非常にキレイにオンプレから移行しているなと感じた.特に技術選定が良く,運用の効率さが高そう.監視サービスの StatusCake は聞いたことがなくて気になる.あと,多段レプリケーションとは言え,MySQL 5.1 から Aurora まで流すのは強すぎ...!
www.slideshare.net
Startup Architecture of the Year 2018
- Game Server Services 株式会社
- 株式会社 MESON
- GVA TECH 株式会社
- 株式会社スナックミー
- コネヒト株式会社
- ピクシブ株式会社
アーキテクチャに特化したピッチ大会ということで,AWS Summit Tokyo 2018 の中でも1番楽しみにしていたセッションだった.個人的にはサーバレスを活用した GS2 に期待していたけど,タイムアップでアーキテクチャの話が聞けなかったのは残念だった.どこも ECS を使ったマイクロサービスを運用しているんだなーとか,バージニアリージョンの Fargate を活用しているのは良いなーとか,GuardDuty などセキュリティ系のサービスもちゃんと使ってるんだなーとか,短い時間だったけど面白かった.Well-Architected は本当に重要だー.
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