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インストラクターアンチパターン : オンライン研修での振る舞い編

仕事でインストラクター(技術講師とも言う)になって4年を超えた.また直近2年半ほどはオンライン研修(リモート研修とも言う)をしている.インストラクターはただスライドに書いてあることを喋るのではなく,教授戦略を練って,インストラクションデザインを考えて,お客様の学びを最大化する.とにかく「やりがいのある」仕事だと思う.

当然ながら,インストラクターとしての「ベストプラクティス」的なものはあれど,最終的にはインストラクター自身の「個性(強みや特徴など)」を活かして研修を提供することが重要になる.個性は多岐にわたる!ただし,インストラクター育成をしながら「それは改善しようか!」と伝えることが多い「振る舞いに関するアンチパターン」がある.強制はしないものの今まで繰り返し伝えていて,今後はブログ記事を渡せるようにしたく,今回「汎化して」まとめることにした.

本題に入る前に注意点を載せておく.あくまで個人的な経験から導き出したもので,必ずしもこれが「唯一の正解」という意味ではない!それは理解している.また,前提としているオンライン研修は「技術(テクノロジー)」を取り扱う「1日〜数日」の期間で提供するものとする.技術以外のオンライン研修に当てはまるものもあるだろうし,全く違って当てはまらないこともあると思う.

1. オリエンテーションが長すぎる

研修における「オリエンテーション」は研修に参加されたお客様の心をグッと掴むために重要な時間になる.学ぶ理由を明確化し,モチベーションを高めて,自己紹介を通して相互理解を深めたりする.またオンライン研修だと Zoom, Google Meet, Webex, GoToTraining などのツール紹介の時間も必要になる.

オリエンテーションの時間はとても重要ではあるものの,とにかくこのオリエンテーションが長くなりすぎてしまう場面を見る.お客様の人数によっても多少の前後はあると思うけど,基本的には「30-40分」で終わらせるのが良いと思う.もし「50-60分」もオリエンテーションをしているならばそれは長すぎる.1日8時間の研修時間からお昼休憩や1時間ごとに挟む休憩を引くと,6時間ぐらいになってしまう.貴重な6時間の中で1時間をオリエンテーションに使うのは単純にもったいないし,せっかくお客様が「学ぶぞ!ワクワク!」という気持ちで参加されているのに「最初の1時間で何も学べなかった...」とガッカリされてしまうことにも繋がる.

👆アクション

  • 研修の開始前に準備をしてもらおう!(あくまで任意)
  • オリエンテーションの情報を見直して「絶対に "今" 伝えるべきこと」に限定しよう!

📝 関連情報

研修の開始前にクイズに回答してもらったり,事前アンケートを取得したりすることを「ソフトオープニング」と言う.例えばこの「ソフトオープニング」を活用して,準備や情報共有を開始前から行っておくことで,オリエンテーションをより効率的に行える.

2. お客様が集中してる時間にインストラクターが喋ってしまう

研修ではインストラクターが喋るだけではなく,数分〜数十分ぐらい「お客様が集中する時間(お客様が主役の時間)」がある.例えば,オリエンテーション中に「自己紹介を考えてチャットに投稿する時間」「1日の振り返りコメントをチャットに投稿する時間」「課題に対して解決案を考える個人ワークの時間」など.そういう時間に「間や沈黙を恐れて」ずっと喋ってしまう場面を見る.

自己紹介の例を挙げてみる.自己紹介を考えて投稿しようとしているお客様がたくさんいるのに,素早く投稿されたものからどんどんインストラクターが返事を返してしまう場面がわかりやすいと思う.

●●さん,投稿ありがとうございます.お仕事では●●を使われているんですね〜!

次に●●さんも,投稿ありがとうございます.今日は●●県から参加されているんですね〜!

これは観点によっては流れるように進行できていて良さそうにも思うけど,自己紹介を考えて投稿しようとしているお客様の気持ちになると「集中して考えているのに会話がどんどん聞こえてくる...🌀」「他のお客様のことも知りたいけどまだ投稿できてなくて焦る...🌀」と感じられてしまう.結果的にノイズやプレッシャーになってしまう.場合によっては「もう書かなくていいや...🌀」と諦めてしまうお客様もいる.

👆アクション

  • お客様が集中してる時間では「間や沈黙を恐れずに」じっくり待とう!
  • 遅れて投稿することも歓迎していると伝えよう!

3. 演習中にお客様全員の前でトラブルシューティングをしてしまう

研修には手を動かして学ぶ「演習(ハンズオンやラボとも言う)」という時間もある.そのときに,手順通りに進まなかったり,手順を間違えてしまって進められなくなってしまったり,インストラクターがトラブルシューティングをする場面は多くある.比較的シンプルなものならチャットを使って解決することもできるけど,お客様と話しながら画面共有をしながら解決する方が効率的だったりする.話しながらトラブルシューティングをすることで,問題判別をするプロセスを紹介できたり,お客様からの追加質問を受け付けることもできたり,とても重要な時間になる.失敗することは素晴らしいこと❗️

こういった個別のトラブルシューティングをオンライン研修中にお客様全員がいる場で配信してしまう場面を見る.当然ながらトラブルシューティングを配信することで他のお客様の参考になることはあるけど,基本的には1個前のアンチパターンと同じく「お客様が集中して演習に取り組んでいる」ので,お客様にとってノイズになってしまう.僕自身がお客様の立場だとしても「静かにして欲しい...🌀」と思う.

👆アクション

  • トラブルシューティング用の「ブレイクアウトルーム」を作ってお客様と一緒に移動しよう!
  • お客様全員がいる場で喋るときはその旨を伝えつつノイズだったらイヤホンを外してもらうなどのアナウンスをしよう!

4. 質問はありますか?と問い掛けるのに数秒で締め切ってしまう

研修の目的は学びを最大化することなので,予定通りに進行することは重要ではなく,お客様の知りたいことや疑問に寄り添って,お客様の体験談と紐付けながら臨機応変に進行することが重要になる.よって,どんどん「脱線」しながら最終的には同じゴールに着地するように進行するのがおすすめ.だからこそ「質問タイム」を設けるのではなく,質問は常に受け付けるべきだし,タイミングがズレていても質問して良いという雰囲気を作るのが重要だと思う.とは言え,何かしらの区切りで「質問はありますか?」と問い掛けることはある.ちなみに「質問はありますか?」よりも「気になることはありますか?」「もっと知りたいことはありますか?」と問い掛けた方が質問は出やすくなる❗️

このように「質問はありますか?」と問い掛けるのに,たった数秒待っただけで「質問はなさそうですし次に進みますね〜」と締め切ってしまっている場面を見る.インストラクターからすると「たった5秒」でも想像以上に長く感じるのは理解しつつも,お客様からすると「そんな短時間で質問なんて書けないよ...🌀」と感じられてしまう.なぜなら「疑問が浮かんだら → 質問文を考えて → 入力して → 最低限の日本語を確認して → 投稿する」という流れをたった数秒で行うのは本当に難しいことだから.最終的に「質問したかったけど諦めよう...🌀」なんて思われてしまったら本当に残念!

👆アクション

  • 「間や沈黙を恐れずに」長く待ってみよう!
  • 質問がなかったら OK 👌 というリアクションをもらうように伝えよう!
  • 質問を投稿する前に「今から質問しまーす!」と仮投稿をしてもらおう!
  • ミュートを解除して質問してもらうことも歓迎しよう!

📝 メモ

「今から質問しまーす!」と仮投稿をしてもらう Tips は僕自身よく使っている.インストラクターは確実に待つことができるし,お客様も焦らずに質問を投稿できるようになる.この Tips は以下の記事でも紹介しているのであわせて読んでもらえたら!

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5. 必要以上にペンタブを使ってしまう

ペンタブを使って Microsoft PowerPoint スライドに直接書き込みながらオンライン研修を進行するインストラクターは多いと思う(実は僕自身は使っていない❗️).ペンタブを活用すること自体は良く,スライドの重要な箇所に印を付けて強調したり(視線誘導),文章では理解しにくいところを図解して説明したりできる.

しかし,ペンタブを使って書く必要がないこと(書かなくても明らかなこと)まで書いてしまっている場面を見る.具体例を2つ挙げる.1つ目は「喋りでも言ってる単語や文章を重ねてスライドに書き込むこと」で,繰り返し聞いたからわざわざ「文字で書き直さなくても...🌀」と思う.さらにインストラクターがペンタブを使って単語や文章を書いている姿を数秒見ることになり,テンポも悪くなってしまうし,そもそもペンタブで書く字はキレイではない.2つ目は「不必要に図解をしたり複雑過ぎる図解をしてしまうこと」で,スライドに類似した図が載っているのにそれを使わずにゼロから書いてしまったり,図解が複雑すぎて書き終わるまでに時間がかかってしまったりする.

👆アクション

  • ペンタブはできる限りシンプルに活用しよう!
  • ペンタブで書き込む内容に付加価値があるのかどうかを考えよう!
  • 複雑な図解をするときはテンプレートを使って効率的に書こう!
  • 複雑な図解をするときは Microsoft PowerPoint スライドのアニメーションを活用することも検討しよう!

📝 メモ

図解には「ライブで書くことで理解が深まる箇所」「下準備として必要な箇所」がある.下準備に関してはライブで書く必要はなく,むしろ時間を浪費してしまうため,テンプレートを使うのがおすすめ.僕自身は以下のようにホワイトボードを活用している.

kakakakakku.hatenablog.com

まとめ

今回は「振る舞いに関するインストラクターアンチパターン」をまとめてみた.オンライン研修のインストラクターをされている方の何かの参考になれば!今回は "振る舞い" にフォーカスしたけど,ニーズがあったら他の観点でもまとめてみたいと思う.

なお「ソフトオープニング」の話や「間や沈黙を恐れない」という話は名著「オンライン研修ハンドブック」にも載っているのでおすすめの一冊❗️

オンライン研修ハンドブック

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