今回は「キャリア」をテーマにしたオススメ本「キャリア・アンカー(自分のほんとうの価値を発見しよう)」を紹介する.過去の記事で本書のことを少し紹介したことはあったけど,実は今まで書評記事を書いていなかった.2019年になり,目標設定をしている人も多いと思う.自分のキャリアを見直したり,自分の価値観を確認したりするときにオススメの1冊と言える.僕自身も年末年始に「キャリア・アンカー(自分のほんとうの価値を発見しよう)」を読み直し,再診断をした.
キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival)
- 作者: エドガー・H.シャイン,Edgar H. Schein,金井寿宏
- 出版社/メーカー: 白桃書房
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
「キャリア・アンカー」とは?
「キャリア・アンカー(自分のほんとうの価値を発見しよう)」は2003年に日本語版が出版された.原著は1993年に出版されていて,非常に歴史があるものの,今読んでも時代のズレなどはそこまで感じない.僕自身は Amazon の購入履歴を見ると「2016年10月」に本書を購入している.そして,2017年の目標設定をするために読んだことがキッカケとなり,年末年始に読む習慣がある.今年は計3回目の読み直しとなった.
そもそも「キャリア・アンカー」とは,一言で表現すると「自分のキャリアを選ぶときの価値観」となる.本書の P.1 に載っている紹介文を引用すると以下となる.自分はどんなキャリアを選ぶべきなのか?現在のキャリアは「自分らしい」のか?という点を知ることができる.また本書にも書いてある通り,キャリアを分類すると2種類あり,「内面的なキャリア」と「外見上のキャリア」となる.「キャリア・アンカー」では,この「内面的なキャリア」を知るためにある.
あなたのキャリア・アンカーとは,あなたがどうしても犠牲にしたくない,またあなたのほんとうの自己を象徴する,コンピタンスや動機,価値観について,自分が認識していることが複合的に組み合わさったものです。
「キャリア・アンカー」を発見する方法
「キャリア・アンカー」は大きく2種類の方法で発見していく.「キャリア指向質問票」は1人で実施することができ,「キャリア・アンカー・インタビュー」はパートナーと2人で実施することができる.
- キャリア指向質問票
- 1人
- 自己診断ツール
- キャリア・アンカー・インタビュー
- 2人
- パートナーと話す
キャリア指向質問票
まず「キャリア指向質問票」は,自分自身の価値観で計40個ある質問に6段階評価を付けて,集計をする.1人で実施することができるので,最もお手軽な方法と言える.計40個ある質問は本書を見てもらえればと!集計をすると,以下の「8アンカー」ごとにスコアが出るため,1番スコアが高いアンカーが「キャリア指向質問票」から発見できた「キャリア・アンカー」となる.本書にはアンカーごとに「仕事のタイプ」や「承認のしかた」がまとまっている.
- 専門・職能別コンピタンス (TF : Technical / Functional Competence)
- 全般管理コンピタンス (GM : General Managerial Competence)
- 自立・独立 (AU : Autonomy / Independence)
- 保障・安定 (SE : Security / Stability)
- 起業家的創造性 (EC : Entrepreneurial Creativity)
- 奉仕・社会貢献 (SV : Service / Dedication to a Cause)
- 純粋な挑戦 (CH : Pure Challenge)
- 生活様式 (LS : Lifestyle)
なお,本書の中盤には「2個以上のアンカーを持つことができるか」という解説がある.原則として「1個」であると書かれていて,理由は「1番目と2番目にスコアが高いアンカーに適する仕事が異なる場合にどちらを選択するか?」という意思決定が必要なときに1番目のアンカーから選ぶためとある.個人的には今だともっと柔軟に考えても良いと思っていて,2番目にスコアが高いアンカーに適する仕事を副業として選ぶことができる.実際に僕自身,2017年に「キャリア・アンカー」の診断結果からプログラミング講師という副業を選んだ.
キャリア・アンカー・インタビュー
次に「キャリア・アンカー・インタビュー」で,これは本書にある質問を使って,パートナーと話すことにより,「自分のキャリアを選ぶときの価値観」をより具体的に言語化をしていく.インタビューと呼ばれている通り,採用面接にも似ている.なぜ「キャリア・アンカー・インタビュー」が必要なのかと言うと「キャリア指向質問票のスコアは自分自身の欲求によってバイアスがかかっているから」と書かれている.大項目で計18個ある質問も本書を見てもらうとして,一部を載せておく.
- 3 : キャリアを歩み始めたとき,どのような大きな望み(アンビション)あるいは長期的な目的をもっていましたか
- あなたはその目的と照らし合わせてみて,最初についた仕事はどんな具合でしたか
- 15 : あなたのこれからのキャリアを展望してみて,特に楽しみとして期待しているのはどんなことですか
- そのようなことを楽しみとして期待しているのはなぜですか
- あなたの次の仕事はどんなものになると思いますか
- さらにその後,あなたの次の仕事はどんなものになるとお考えですか
正直言って,「キャリア・アンカー・インタビュー」で難しいのは「パートナーを選ぶこと」だと思う.本書には「パートナーの選び方」がまとまっていて,要約すると「心置きなく話し合える人(配偶者や親友)が良い」と書かれていた.僕の場合は,パートナーを複数人を選び,インタビューの背景を伝えた上で,あえてインタビュー形式にはせず,質問をトークテーマにして雑談をするスタイルを選んだ.理由は「雰囲気」と「お手軽さ(ある意味での雑さ)」を重要視したく,カスタマイズをしている.
「アンカー」推移(上位)
僕自身の「アンカー」推移(一部)を載せておくと,上位3アンカーは3年間同じだった.しかし,直近の診断で「奉仕・社会貢献」が1位となり,「専門・職能別コンピタンス」が2位となった.本書には「専門性を活かして人を育てる先生もしくはメンターが良い」と書かれていて,現在のキャリアと合っている.そして趣味で活動しているブログメンタリングも合っていると思う.なお,2017年の目標に「技術支援を仕事にする」と掲げたのは,実は2016年12月の診断結果が関係している.今のところ,大満足のキャリアを選択することができている.
- 2016年12月
- No.1 : 純粋な挑戦
- No.2 : 奉仕・社会貢献
- No.3 : 専門・職能別コンピタンス
- 2017年12月
- No.1 : 純粋な挑戦
- No.2 : 奉仕・社会貢献
- No.3 : 専門・職能別コンピタンス
- 2018年12月
- No.1 : 奉仕・社会貢献
- No.2 : 専門・職能別コンピタンス
- No.3 : 純粋な挑戦
「アンカー」推移(下位)
下位2アンカーも3年間同じだった.今まで起業や安定した生活に興味を持ったことがなく,これはこれで「自分らしい」診断結果だった.
- 2016年12月
- No.7 : 起業家的創造性
- No.8 : 保障・安定
- 2017年12月
- No.7 : 起業家的創造性
- No.8 : 保障・安定
- 2018年12月
- No.7 : 起業家的創造性
- No.8 : 保障・安定
まとめ
- 「自分のキャリアを選ぶときの価値観」を発見するときに「キャリア・アンカー(自分のほんとうの価値を発見しよう)」はオススメ
- 発見する方法は2種類ある
- キャリア指向質問票(自己診断ツール)
- キャリア・アンカー・インタビュー(パートナーと話す)
- 直近3年間は年末年始に本書を読む習慣がある
キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival)
- 作者: エドガー・H.シャイン,Edgar H. Schein,金井寿宏
- 出版社/メーカー: 白桃書房
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (21件) を見る