@nikuyoshi に献本を頂き,去年「技術書典4」と「技術書典5」で頒布された「ソフトウェアエンジニアの情報収集について(改訂版)」を読んだ.本書は約50ページと薄く,すぐに読むことができる.重要なのは本書を読み終えることではなく「自分自身の情報収集スタイルを定期的に見直すこと」だと思っていて,むしろ読み終えてからがスタートと言える.厳選されたサイトの紹介以外に,情報収集のテクニックも紹介されている.
目次
- はじめに
- 本書における情報収集の分類について
- この本で説明する内容
- この本で説明しない内容
- 意見と質問
- 依頼事項を満たすための情報収集について
- 検索の効率化
- よい質問の仕方
- 0から技術を学ぶ時に行っていること
- 日々の情報収集について
- 社外の技術者と交流する
- Podcast
- メール
- 日常会話
- 役に立つ豆知識
- 原因調査で使えるコマンド、ツールなど
- 実践例題集
情報収集の分類
本書は「情報収集」を以下の2種類に分類している.本書に書いてある通り,シチュエーションによって情報収集のスタイルは異なり,うまく言語化されていると感じた.
- 依頼事項を満たすための情報収集
- 日々の情報収集
本書にも「依頼事項を満たすための情報収集」の中に「書籍から学ぶ」とある通り,僕自身も技術書を積極的に読んでいる.個人的に電子書籍は得意ではなく,物理本を読むことが多く,読みながら付箋を貼るスタイルをずっと貫いている.付箋は「自分だけの検索インデックス」と言い換えることもできて「依頼事項を満たす」ときに便利なリファレンス本は常に机の上に置いてある.具体的には「実践ハイパフォーマンス MySQL」や「Web API: The Good Parts」など.
- 作者:Baron Schwartz,Peter Zaitsev,Vadim Tkachenko
- 発売日: 2013/11/25
- メディア: 大型本
- 作者:水野 貴明
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: 大型本
質問をする / 技術者と交流をする
本書では「情報収集」の中に「質問をする」や「技術者と交流をする」など,ソフトスキルに分類されるスタイルも紹介されていて素晴らしかった.個人的には「質問をする」よりも「雑談をする」という表現を使うことが多く,コミュニケーションを通じて「質問 → 回答」という定型的な情報以外にも「少し関連する情報」も得られる可能性がある.積極的に質問(雑談)をするべきだし,組織的にも質問(雑談)を常にできるような文化を根付かせて置く必要がある.最近モブプログラミングが流行っている背景も関連していると思う.さらに質問(雑談)をすると「オートクライン」と引き起こすことができるのもメリットと言える.詳しくは以下の記事にまとめてある.あと質問をする目安として「Google : The 15 Minute Rule」が挙げられていた.
The Five Orders of Ignorance
本書を読んで「無知にはレベルがある」ことを発表した論文「The Five Orders of Ignorance」があることを知った.具体的には「0 OI / 1 OI / 2 OI / 3 OI / 4 OI / 5 OI」となり,計5レベルある.プログラミング講師をしていたときに「プログラミング初心者に検索して!と言っても検索キーワードすら考えることができず,もっと具体的にサポートすると学習効率が高まる」という経験があり,まさに論文と同じ状況と言える.知れて良かった!
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=352194dl.acm.org
アウトプットも「情報収集」と言えるのでは?
本書は「情報収集」をテーマにしているため,主に「インプット」にフォーカスした内容になっている.個人的に補足をするならば「アウトプット」も情報収集に繋がると思う.アウトプットをする過程でインプットを整理することもできるし,さらにアウトプットを読んだ人からフィードバックを頂くことで,もう1度学び直すことができる.さらにアウトプットを必要としている人は他人だけではなく「過去の自分」や「未来の自分」だったりもする.うまく学習サイクルを回すためには「インプットとアウトプットのバランス」が重要だと思う.
まとめ
- 「ソフトウェアエンジニアの情報収集について(改訂版)」を読んだ
- 献本あざます!
- 単なる情報収集スタイルの紹介ではなく「質問をする」などソフトスキルに分類されるスタイルも紹介されていた
- 個人的には「アウトプット」も情報収集に繋がると思う
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著者 @nikuyoshi の記事!
よりアカデミックに「学び」を知るなら「エンジニアの知的生産術」を読むと良さそう.