2019年10月末に Redash の最新バージョン「Redash v8.0.0」がリリースされた.Change Log を読むと機能改善が多くあり,今回は「個人的に気になった Redash v8 新機能と機能改善」を「計10点」紹介しようと思う.Change Log は以下の CHANGELOG.md
で確認できる.
目次
- ドロップダウンで複数値を選択できるようになった
- クエリ名を日本語で正しく検索できるようになった
- ダッシュボードがグリッド表示になった
- データソース追加/削除
- データソース設定画面の UI 改善
- クエリ画面にデータソースのアイコンが表示されるようになった
- カスタムアラート機能
- Query API Key を作り直せるようになった
- アラート送信先から Hipchat が削除された
- 匿名利用データ共有
1. ドロップダウンで複数値を選択できるようになった
今までも {{}}
を使って「パラメータ付きクエリ」を作り,さらに「ドロップダウン」と組み合わせて「候補を選択する」ことはできたけど,あくまで「1個」しか選択できなかった.例えば,以下のクエリだと {{CountryCode}}
として JPN
などを選択できるようになる.
SELECT * FROM city WHERE CountryCode = '{{CountryCode}}' ORDER BY Population DESC;
なんと Redash v8 では「ドロップダウンから複数値を選択できる」ようになった.例えば,以下のように IN
で複数値を検索する「パラメータ付きクエリ」を作れるようになる.
SELECT * FROM city WHERE CountryCode IN ({{CountryCode}}) ORDER BY Population DESC;
ドロップダウンを設定するときに,以下のように「Allow multiple values」という項目があり,3種類ある Quotation から選択できる.今回は IN
に合わせるため Single Quotation Mark にした.
- None (default)
value1,value2,value3
- Single Quotation Mark
'value1','value2','value3'
- Double Quotation Mark
"value1","value2","value3"
実際にクエリ画面を見ると JPN
と AUS
など,複数値を選択し,クエリを実行できる.これは便利!間違いなく「パラメータ付きクエリ」の用途の幅が広がると思う.
2. クエリ名を日本語で正しく検索できるようになった
今までは,メニューバーにある検索フォーム(Search queries...
)でクエリ名を検索しても,マルチバイト文字に対応してなく,日本語の場合は期待した結果にならず,困っていたと思う.Redash v8 でマルチバイト文字に対応し,クエリ名を日本語で正しく検索できるようになった.ただし,デフォルトでは無効化されていて,Settings 画面で Enable multi-byte を有効化する必要がある.
3. ダッシュボードがグリッド表示になった
ダッシュボードがグリッド表示になり,罫線を見ながらウィジェットを配置できるようになった.地味な改善ではあるけど,神は細部に宿る!
4. データソース追加/削除
Redash はバージョンアップごとにデータソースを増やしている.Redash v8 では「計7種類」が追加されて,一部は削除となり「計49種類」になった.データソースの選択肢の多さは Redash を使うメリットになる.
- 追加
- Azure Data Explorer (Kusto)
- Cassandra
- Couchbase
- Dgraph
- JSON
- Phoenix
- ScyllaDB
- 名称変更
- GoogleSpreadsheet → Google Sheets
- 削除
- MemSQL
- Url
5. データソース設定画面の UI 改善
データソース設定画面で「インクリメンタルサーチ」が使えるようになった.今までは全てのデータソースが並んでいた.バージョンアップごとにデータソースが増えているため,今後さらに増えることを考えると,価値のある改善だと思う.
6. クエリ画面にデータソースのアイコンが表示されるようになった
クエリ画面で,データソースの左にアイコンが表示されるようになった.地味に良いと思う!
7. カスタムアラート機能
Redash v8 を起動するときに,環境変数 REDASH_FEATURE_EXTENDED_ALERT_OPTIONS
に true
を設定し,Feature Toggle を有効化すると「カスタムアラート機能」が使えるようになる.今までも「アラート機能」はあったけど,例えば Slack にアラートを通知しても「アラート名」以外に情報がなく,迅速な状況判断には使えなかった.
そこで「カスタムアラート機能」を使うと,以下のように自由にテンプレートを定義することができ,カスタマイズしたアラートを通知できるようになる.ちなみに Description template は Mustache フォーマットを使う.さらに「プレビュー機能」もあり,これは便利すぎる新機能!今回はサンプルとして「閾値」と「実測値」をテンプレートに埋め込んでみた.
実際に Slack に通知をすると,以下のように Description が追加されていた.定義するテンプレート次第では,今までよりも格段に情報量が上がるため,障害時の迅速な状況判断に活用できそう.
8. Query API Key を作り直せるようになった
Redash v8 から Query API Key を作り直せるようになった.実際に API Key のダイアログを確認すると Regenerate ボタンがあった.
9. アラート送信先から Hipchat が削除された
2018年の Hipchat 廃止に伴って,アラート送信先から今まであった Hipchat が削除された.
10. 匿名利用データ共有
Redash v8 から「Anonymous Usage Data Sharing(匿名利用データ共有)」の仕組みが追加されていて,オプトインをすると,クエリ数など一部の利用データが Redash 運営側に送信される.今回 Redash トップページ下部にオプトインをするメニューが追加されていた.
オプトインは Settings 画面から変更できるようになっている.
まとめ
- 2019年10月末にリリースされた「Redash v8.0.0」を試した 🎉
- 個人的に気になった新機能と機能改善を「計10点」紹介した
- 特に以下は目玉機能だと思う 👀
- ドロップダウンで複数値を選択できるようになった
- クエリ名を日本語で正しく検索できるようになった
- カスタムアラート機能